Review
The Night of Baba Yaga
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王谷晶の小説 (ババヤガの夜)(2020年編集)が、このたび英国公安作家協会主催のダガー賞を受賞しました。
物語は、主人公・新道依存子がひょんなことから暴力団の会長の一人娘のボディーガードをどこから始めます。 暴力が渦巻く危険な日常のなか、依存子は飄々、暴力には戦いながら生きていきます。 この作品の大きな魅力は、「はこうあるべき」という日本社会に根付いた固定観念を、痛快に笑い飛ばし、力強く打ち砕いていく点です。
主人公の依子は、少々「美人」でも「スリム」でもありません。しかし、彼女はどこまでも、たくましく、野性味に満ちています。
著者の背景を知ることで、この作品の時間はさらに増します。
さて、タイトルにもなっている「ババヤガ」とは、ロシアや東欧の民話に登場する森の魔女のこと。 先日ご紹介した柚木麻子 ( Butter ) と同じように、世の中の「不安」を打ち破ってくれる一冊です。 ぜひ、このどこまでも暴力的で、どこか優しさを感じさせる物語をお楽しみください。
大谷明の小説『バーバ・ヤーガの夜』 (2020年刊行)は、英国推理作家協会が授与する権威あるダガー賞を受賞した。また、2024年にはロサンゼルス・タイムズ紙が選ぶ「この夏読むべきミステリー小説5選」にも選ばれるなど、その高い評価は広く認められている。
物語は、主人公の新藤頼子がひょんなことからヤクザの組長の娘のボディーガードに雇われるところから始まる。彼女は絶え間ない暴力が渦巻く危険な世界を、冷静沈着に生き抜き、時には力には力で対抗する。本作の大きな魅力は、「女性は痩せているべき」「美しくあるべき」「慎み深くあるべき」といった、日本社会に根付いた固定観念を、力強く、そして爽快に打ち砕き、嘲笑うところにある。
ヨリコは、いわゆる「美人」でも「スリム」でもない。むしろ、彼女は信じられないほど強く、たくましく、野性的で奔放な精神に満ちている。容赦ない暴力描写にもかかわらず、物語は驚異的なスピード感で読者を引き込む。鮮やかな描写は、まるで映画やグラフィックノベルを見ているかのような没入感を生み出し、読者に不思議な高揚感をもたらす。
作者の生い立ちを知ることで、作品への理解が深まる。幼少期に本に囲まれて過ごした経験や、鬱状態に陥った時期に引きこもり、無数の映画や小説を読み漁った経験は、この小説に色濃く反映されている。特にブレット・イーストン・エリスへの敬愛、とりわけ『アメリカン・サイコ』を繰り返し読んだことは、この作品に見られる独特な暴力描写と関連しているのかもしれない。
タイトル「バーバ・ヤーガ」は、ロシアや東欧の民間伝承に登場する森の魔女を指しています。先日ご紹介した柚木麻子さんの『バター』と同様に、この小説も社会が私たちに課す「呪い」を打ち破ります。残酷でありながらも不思議な優しさを湛えたこの物語を、どうぞお楽しみください。